創作作品展示室

主にオリジナル小説が掲載してあります。

2018-06-06から1日間の記事一覧

フローアイアンの風の音に 序章

フローアイアンの風の音に 序章 『フローアイアンの鐘の音に』20080614(最終更新20180606) 絶えず吹く風は平原を駆け抜け、街の中心に位置する国防軍中央事務施設の渡り通路へまで葉を運んだ。ここ数日は過ごしやすい天気が続いており、軍内部でも…

フローアイアンの風の音に 第1話

フローアイアンの風の音に スティル・アンカー編 第一話 『スピアズ・オレンジア~孤高の短槍遣い~』Spires Oranjea 20100208修正20110803 20110805(最終更新20180606) 風になびくは金の髪。静かに閉じられた薄紅の唇。クールな雰囲気を纏う姿とは裏腹に…

白狼のクロ 第15話

白狼のクロ 第15話 『姫君の逃亡計画』20120528(最終更新20180606) 日本語を巧みに喋るお嬢様と、そのボディガードの黒服の男性。二人を伴って一緒に空港へ戻ると、リンが何やら嫌そうな顔を見せた。 「何だい、また厄介事を連れてきたのか、君…

白狼のクロ 第14話

白狼のクロ 第14話 『雇われの飛頼師』修正20120603(最終更新20180606) 馬車に揺られておよそ二時間が経過した頃、カンクロウたちは今回の依頼主であるステイアという少年と、その妹イーオの故郷であるというマウンドクオールへたどり着いていた…

白狼のクロ 第13話

白狼のクロ 第13話 『スリラッカの宝舟』 20120424修正20120425修正20120427(最終更新20180606) ラヴィが手配してくれた航空便は、カンクロウが想像していたものとは違い、いわゆるヘリコプターに近い形状の乗り物に乗って、今…

白狼のクロ 閑話休題2

白狼のクロ 閑話休題2 『タルティ』(最終更新20180606) 『リオリオ・レンド』の昼間は大抵ヒマを持て余す時間がある。ここ数日連続して飛頼師たちの依頼同行に付き合っていたカンクロウだったが、今日はクロキ・リンとその相棒クロ、飛頼師のクシカと、そ…

白狼のクロ 閑話休題1

白狼のクロ 閑話休題 『明け月の夕』17.Mar.2010(最終更新20180606) 白狼は、夢を見た。雨が降りしきる、赤い中。群れから追い払われた、あの日。一人の幼い人間の少女を庇った罪を、言葉などなくとも、白狼は理解し、群れを去った。理由などない。感情な…

白狼のクロ 第12話

白狼のクロ 第十二話 『勾血のカナン』20081022(最終更新20180606) リンが再びカンクロウの前へ姿を現したのは、陽が沈む頃であった。彼女は依頼を受けて赴き、わずか数時間しか経っていないが、果たして依頼を達成したのだろうか。――アーマートッ…

白狼のクロ 第11話

白狼のクロ 第十一話 『飛頼師の本質』20081006(最終更新20180606) 店を飛び出したカンクロウが視線を左へ向けると、人混みに紛れるリンの後ろ姿を目視した。混雑した歩道を走ることなど言うまでもないが、早歩きすら難しい状況でカンクロウは、危…

白狼のクロ 第10話

白狼のクロ 第十話 『ブロークン 2』20080919(最終更新20180606) 『ブロークン』という単語を耳にした時、カンクロウは覚えず、きょとんとした。しかし、記憶の書庫から単語帳を引っ張りだしてその意味を理解したとたん、全身に寒気が走った。 「…

白狼のクロ 第9話

白狼のクロ 第9話 『ブロークン』 (最終更新20180606) 「当たり前だよ。君、迂闊だったね。」 先ほどの緊急事態を脱したカンクロウは、酒場『リオリオ・レンド』のテーブル席で、前に座るリンに笑われていた。言葉を解することのできるらしい白狼に対して…

白狼のクロ 第8話

白狼のクロ 第八話 『鬼風のサギン』20080903 20120325(最終更新20180606) 雨をもたらしそうもない雲が、くすんだ青一面に横切っていく。しかし、地上は水で湿り、土臭いにおいが漂っていた。 「君、いい加減に逃げるのは止めろ。大人しく…

白狼のクロ 第7話

白狼のクロ 第七話 『悲劇の幕切れ』20080609(最終更新20180605) カンクロウの目は炯々としていて、彼を横から見ているリンは、彼がなにか面白いことを言い出すのではないかと期待を募らせるように眺めている。ラヴィは身じろぎ一つせずにカンクロ…

白狼のクロ 第6話

白狼のクロ 第六話 『流れ星』20080609(最終更新20180605) リンが地へ倒れる前に彼女を拾ったのは、狼であった。狼はその体をもってして倒れ込むリンを背負ったが、女性といえどリンはわりに長身である。決して軽くはないので、狼はリンをそっと地…

白狼のクロ 第5話

白狼のクロ 第五話 『ムラサキコチョウ』20080609(最終更新20180605) 夢を見ているような気持ちで、カンクロウはつかの間息さえ忘れたように立ち尽くした。しかししばらくして意識を取り戻したとき、あの蠢くものは『木』ではないことを知った。 …

白狼のクロ 第4話

白狼のクロ 第4話 『コクラヤンマ』(最終更新20180605) 酒場を出てから数十分。カンクロウたちは、足場の悪い道を馬車の荷台に乗って通行していた。からっと晴れた天気であるので、太陽の陽射しを直に受けなければ、比較的過ごしやすい気候だ。荷台に座る…

白狼のクロ 第3話

白狼のクロ 第3話 『奇特なたずね人』 「ここに魔道士族の飛頼師が存在するって聞いて来たんですが。」 乾いた地にある酒場『リオリオ・レンド』に、遠い島国からの訪問者が来たのは、雨が上がった翌日だった。少しやけた白い肌に、染色らしい赤の髪、濃い…

白狼のクロ 第2話

白狼のクロ 第2話 『酒場の喧騒の中で』 (最終更新20180605) 「……君、なんで付いてくるのよ。」 小雨になってきた頃、二匹のトラを担ぎながら歩いていた人間は、ようやく立ち止まって、ぼやいた。人間の後方には、付かず離れずの距離を保って、一匹の白い…

白狼のクロ 第1話

白狼のクロ 第1話 『薄汚れた白き狼』(最終更新20180605) 大地は潤いを取り戻していた。 昨夜から降り続く雨が乾きを浄化していき、ヒビ割れていた地面のあちらこちらには大きな水たまりさえできていた。 空を舞う猛鳥は先刻から視界の利かぬ中で、地上に…

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