創作作品展示室

主にオリジナル小説が掲載してあります。

中編

かげろうさん 第17話 『かげろうさんの正体』

第17話 『かげろうさんの正体』 午後一時。昼休憩のサラリーマンやOL、談笑する主婦に混じり、俺はその喫茶店の窓際の席にいた。暖かかったコーヒーは生温くなり、昼休憩を終える会社員たちがぞろぞろと店から出ていく。喫茶店の出入り口を見て、携帯電…

かげろうさん 第16話 『部員ナンバー六六六』

第16話 『部員ナンバー六六六』 オカ研の活動を休止して三日目。俺は自室のデスクトップで一人、『かげろうさん』の事を探っていた。もうすぐ、『はま』に会えるが、その前に自分でももう少し予備知識を身につけておきたかったからだ。とは言っても、『か…

かげろうさん 第15話 『川の守り神』

第15話 『川の守り神』 俺は夢を見た。幼い頃の記憶が見せた、過去に一度だけ起きた、奇跡のような夢を。 俺がまだ小学校にあがる前のことだった。実家に遊びに行ったあの夏の日。一人で川で遊んでいたとき、流れの速い箇所で足をとられて、濁流に巻き込ま…

かげろうさん 第14話 『海から来たるもの』

第14話 『海から来たるもの』 今宵は新月。雲ひとつない、星明りの下、俺は『ぶらくろ』さんと海沿いの道をドライブしていた。薄暗い海のさざ波が、寂しく耳に触れる。 運転しながら、『ぶらくろ』さんが言う。「『ガキ使』さんと連絡つかないのに、私なん…

かげろうさん 第13話 『イケニエ』

第13話 『イケニエ』 昔の物語。場所も時代も明確ではないが、各地にひっそりと語り継がれるあるお話。 忌み子を山の神様に捧げる儀式として、『怪異のお面』……『いみの面』をかぶった子どもを、生贄として差し出す、そんな伝承。現在でも、その風習があっ…

かげろうさん 第12話 『重ね手』

第12話 『重ね手』 その日のぐっさんはなにか様子がおかしかった。俺が話しかけても、なにか生返事で、上の空。なんだろうか。彼は悩みを話さないタイプなので分からない。まあ、そのうち気が変わって話してくれるだろうと思い込み、俺はノートPCでオカ…

かげろうさん 第11話 『スズメバチ症候群』

第11話 『スズメバチ症候群』 事件の発端は分からない。ただ分かる事は、子どもたちにしか感染しないという点。俺とぐっさん、ガッキーさん、春子さん、あややは自分たちの足でその土地へと赴いた。……子ども時代のあの記憶が色濃く残る忌まわしい土地。こ…

かげろうさん 第10話 『もう一つの怪異の代物』

第10話 『もう一つの怪異の代物』「深くは聞けなかったけど、聞いてきたよ。心して聞くがいい」 ガッキーさんが意気揚々と登場した。スマホにメモしていた内容を確認しながら、ガッキーさんは話し始める。「あややんちの『怪異のお面』と、例の神社にある…

かげろうさん 第9話 『口裂け女』

第9話 『口裂け女』 それは数十年前に遡る。学校帰りの小学生が、遭遇した、とても恐ろしい話。 夕暮れに一人の小学生女児が帰路を歩いていた。どこにでもいる普通の女の子。そんな女の子に、近づく大人の影。「お嬢ちゃん」 女だった。女は女の子の前に立…

かげろうさん 第8話 『山の怪』~ぐっさんの体験~

第8話 『山の怪』~ぐっさんの体験~ オカ板で『晴れのち晴れ』というHNを使い始めたのは、かれこれ五年前になる。オカルト好きが高じてコテハン(固定ハンドル)を使い始めた頃、巡回スレが比較的近かった『ホワロリ』ことギダちゃんと知り合ったのもこ…

かげろうさん 第7話 『軽自動車の怪』

第7話 『軽自動車の怪』 その日、俺はオカ板オフ会で知り合った女友人の『ぶらくろ』さんと真夜中ドライブをしていた。ペーパーの俺と違いドライブが好きな『ぶらくろ』さんは、それは運転がうまかった。山道でもすいすいと走っていき、同じように真夜中ド…

かげろうさん 第6話 『怪異のお面』

第6話 『怪異のお面』 曹賢寺(そうけんじ)はオカルト研究部の一員であるあややの実家だ。そこに安置されている、とある『お面』がいま、世間の注目を浴びている。本来ならば表社会に出てはならないはずのそれは、先日報道された『事故予告』の唯一の犠牲…

かげろうさん 第5話 『追い小鬼』

第5話 『追い小鬼』 時は平成。場所は不明。けれど、それはどこでも起こりうる、少し怖い、不思議な話。 ある男が、いつも通り自宅の部屋から天体観測をしていました。澄んだ冬の夜空は満天の星。きらきらと輝くそんな星に、男は心躍らせていました。夜も更…

かげろうさん 第4話 『事故の予告』

第4話 『事故の予告』 その日、俺はぐっさんちで漫画を読んでいた。お気に入りのスレッドを開きっぱなしにして。 そうしたら、ピコンと鳴った。誰かがスレッドにレスをした音だった。「お。新参?」 見た事がないHN(ハンネ)だ。漫画を閉じて、缶のサイ…

かげろうさん 第3話  『丑の刻参り』

第3話 『丑の刻参り』 この平成の時代。非科学的な事象を徹底的に排除する傾向がある近年。それでも未だに発生する謎の怪異。事件。その代表的呪術といえば、『丑の刻参り』だろうか。夜な夜な神社に赴き、憎い相手へ呪いをかける。地道ながら、確実に相手…

かげろうさん 第2話 『オカルト研究部』

第2話 『オカルト研究部』 幼い頃のあの記憶を忘れないため、俺は今もある手帳を持ち歩く。――兄が壊れてしまったあの夏の日のことを、日記として記しておいた。ぼろぼろの手帳の表紙には、八月十二日の文字。中を開けば、鮮明にあの頃のことを思い出せる。…

かげろうさん 第1話 『かげろうさん』

第1話 『かげろうさん』 科学では解明できない現象……オカルト現象。科学の進歩とともに徐々に明らかにされつつある、この世にはびこる無数の怪奇現象、怪異現象。はじめに、俺がこの世界に興味を持った話をしよう。いまだに原因や真相が分からない、幼い日…

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