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フローアイアンの風の音に 第1話

フローアイアンの風の音に スティル・アンカー編 第一話 『スピアズ・オレンジア~孤高の短槍遣い~』Spires Oranjea

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 風になびくは金の髪。静かに閉じられた薄紅の唇。クールな雰囲気を纏う姿とは裏腹に、その鳶色の目には熱い何かが宿っている。真新しい深緑色の軍服には汚れ一つない。これから始まる新生活に抱く感情はただ一つ。『野心実現』のための復讐心のみだった。

 

フローアイアンの風の音に『スティル・アンカー』

 

「ヤックル・オランゼ・フレーシア少尉ですね。徽章はこちらになります。間もなく迎えの方が見えますのでお待ち下さい。貴殿にフローアイアンの幸導きがありますように。」

 

 施設の玄関機能を果たす場所で受け取った『軍人の証』。金髪を風に揺らして、小柄な若き尉官の女はその堅い物質を強く握りしめた。
 ヤックル・オランゼ・フレーシア。それがこの尉官軍人の名。彼女がこの南ハクニア大国『マーベラストイックス国防軍』軍学校を卒業したのはついひと月前のこと。至上で二例目となる尉官位卒業を果たした彼女は、本日今より『真の軍人』として地を踏んだ。
 ヤックルは支給された徽章を胸元へ取り付け、息を吐いた。これから自分の復讐劇が本格的に幕を開ける。それを思えば、軍学校での厳しく辛い訓練の日々など遠い過去の記憶にさえ留まらなかった。

 

「失礼。フレーシア少尉でしょうか。」

 

 ヤックルに声をかける赤髪の女。ヤックルと同じく深緑色の軍服を着用するということは、彼女も戦闘員である証だ。彼女のその黒い目には優しげな印象が映る。ヤックルは彼女が迎えの者だと直感した。

 

「はい。ヤックル・オランゼ・フレーシアです。」

 

 姿勢をただして名を名乗る。きびきびとしたその姿はまさに軍人だ。赤髪の女はその長い髪を少し揺らして微笑した。

 

「ああ。そんなに肩肘張らなくて構わないですよ。あたしはリタ・クランキー。地位は中尉だけど、肩書きに過ぎないので気兼ねしないでくださいね。よろしく。」

 

 言葉を崩した中尉を、ヤックルは少し不思議に思った。どちらかといえば困惑に近い疑念が浮かぶ。ここは一国の軍事施設。仮にも一階級『も』違う相手に気兼ねするなというのはおかしい。軍学校時代では考えられなかった。このように砕けた話し方をする奴も、見たことがなかった。彼女は見たところ自分と年が近そうだが、だからといって階級の違う相手に軽々しく接することなど出来ない。

 

「さぁ、これからあなたの配属される職場へ行きましょうか。ついてきてください。」

 

 リタはヤックルの内心など知らぬままに、背を向けて歩きだした。ヤックルは怪訝な目をリタへ向けていたが、じきに息を吐き出して思考を中断した。仲間だとか同僚だとか、そんなものに興味はなかった。ただ、自分の『野心実現』の妨げにさえならなければ、どうでも良い。あるいは利用価値のあるものならば、何でも利用する心づもりだったからだ。

 

「フレーシア少尉は話通りの人ですね。」
「は。何と?」

 

 なにやら愉快そうな笑顔を手向けられ、ヤックルはリタを見た。この人は、自己勝手なペースを貫く人のようだ。ヤックルはリタを、苦手な部類の相手だと思った。
 リタは後ろ歩きしながら、ごく小声で述べる。

 

「ハルシュテン中佐二号が現れたぞって、フスキー中佐が愉快そうに語っていたんですよ。だから実際あなたを見て、なるほど確かにって納得しましたよ。」

 

 フスキー中佐とは、軍学校時代にヤックルが指導を受けた上官の名だ。しかし、ハルシュテン中佐という名は初耳であった。誰だか知らないが、リタはヤックルとその中佐を似ていると言ったのだろう。その人が中佐であり、そしてたぶん、自分と同じ思想を抱いているらしいことだけは――対面した事はないがそういう人物なのだろうということだけは――分かった。いずれは自分も辿りつくつもりの地位に座る上官か。記憶の片隅にでも留めておこう。ヤックルは人知れずそのように思惟する。

 

「あっ。いけない、渡し忘れていたわ。」

 

 突然に声をあげて、リタは軍服からなにかを取った。彼女の手を見遣れば、軍服とは異なる素材の布がある。六角形の布には、中央に星の形の刺繍。そしてそれの中央部には国防軍旗にも描かれてあるこの国の神の偶像……フローアイアンの御姿が掘られたプレートがあった。上部には金具があるため、装着可能なようだ。

 

「南館への出入りに必須な許可証です。腰ベルトの部分に装着してくださいね。細かい説明に関しては、あなたが知りたいと望んだなら、また教えますね。」

 

 屈託のない、一切の悪びれもない笑い顔だ。ヤックルはしかし、そんな重要なものを渡し忘れるとは、どういう人なのだろうと、呆れながらもリタからそれを受け取り、指示通り腰ベルトへ許可証を装着した。そうしてヤックルたちは、中庭へ抜けられる連絡通路へと出た。ヤックルの目に、白い建造物が映される。
 マーベラストイックス国防軍中央事務施設。ここのシンボルと言えば、施設中央にそびえ立つ時計塔。人の手により毎日決まった時刻に鐘が鳴らされる、雄大にして憂愁さを帯びる、その鐘の音を間近で聞くことをどれほど望んだことか。ヤックルは一瞬だけ時計塔を視界に納めたが、すぐにまた前を歩くリタの背中を見た。

 

「フレーシア少尉はなぜ軍に入隊されたんですか?」

 

 リタが不意に振り返り、歩幅を狭くして歩調を合わせてきた。隣を歩く彼女を見て、ヤックルは少し言葉に詰まった。自分の野望を安易に他人に話したくないのだ。ましてまだ会って間もない相手になど。ある程度自分で相手を品定めし、利用価値のある者だけには話すつもりで居たため、ヤックルは一瞬間だけ思惟をしてこう答えておいた。

 

「私は特異体質なんです。だから軍人になった。」
「特異体質者ですか。なるほど、そうか。ますますハルシュテン中佐とおんなじですね。」

 

 リタは何やら嬉しそうにした。そして彼女の口からはまた、ハルシュテン中佐の名が出た。その中佐も特異体質者なのか。ヤックルはほんの僅かに興味を抱いた。
 特異体質者はかつて迫害を受けた過去を持つが、今は時代の流れによりそういったことはなくなっていた。ただし、その名の通り特異な体質を持つがゆえに働き口も狭く、またその力が障害になり民間裁判が絶えることはなかった。そんな折りに救済措置として国の『軍学校』が名乗りをあげた。この国の軍には、人種・性別・身分・国籍を問わず、様々な人間が身をおいている。働き口の限られている特異体質という短所を持った人間さえ受け入れてくれる場所……それがこの軍だった。昔は差別が酷く迫害の対象としてあった特異体質者も、軍内部では皆平等の扱いを受けることが出来た。しかしそれは裏を返せば、軍以外に特異体質者が安定して居られる場所はないことを意味した。

 

「クランキー中尉、お疲れ様です。」
「ノールドさん。ご苦労様です。」

 

 時計塔から南側に位置する建物の入り口には、二人の男性が居た。彼らは深い青色の軍服を着ている。意味するのは事務職者であるということ。そして彼らの左腕には青紫色の腕章があった。
 短い黒髪、茶色の目を持つ彼はアルバナ・ノールドというそうだ。もう一人はカノン・トレード。茶髪に紫の目が印象的な青年軍属者だった。

 

「我らは南館の通行監査員です。ここに出入り可能なのは佐官以上の地位保持者、及び上層部直轄三系課勤務の戦闘員、そして一部の認可された事務職者だけですので、ここで通行可能かどうかを確認するのです。」

 

 アルバナは丁寧に説明し、二人の監査員はそれぞれでリタとヤックルのチェックを開始した。ヤックルを担当したのはカノンだった。

 

「肩章、徽章と、通行章……こちらの許可証ですね。これら三つを入館時にチェックさせて頂きます。ちなみにこちらの通行章は中尉の官位になられますと、階級証と引き替えられます。」

 

 カノンの視線の先には、手に階級証を持つリタがいた。彼女のそれは玉鎖により腰ベルトと繋がれていて、アルバナに見せたあと再び軍服のポケットへとしまっていた。――中尉位とは、マーベラストイックス国防軍内における特有の階級差分の一つの境界である。中尉の官位には『シーロウ』という名と階級証が与えられ、部隊編成時には一個小隊長の責務を負う段階に入るのだ。ために中尉位の官位を得るというのは国防軍戦闘員にとっての『第二目標』にされる階級であった。
 南館への立ち入り審査を無事に通過したヤックルは、リタに続いて通路を進む。ここ南館は、玄関的役割を果たしている北館とは雰囲気が全く違っていた。

 

「三課第一下克上組。それがあたしたちの所属チームですね。」

 

 リタが言う。上層部直轄三系課のひとつ。具体的な勤務内容は書面でしか見たことはないが、軍学校時代にヤックルが世話になった上官の管轄する課。ヤックルは気を引き締めて、目つきを鋭くした。この日のためにどんな仕打ちにも耐えてきたんだ。今更、臆することなど何があるだろう。
 リタは扉を開けて入室した。ヤックルも後に続いて入る。整然と向かい合わせに並ぶ机は両三つであわせて六つ、最奥には一つだけ机があった。そこに座るのは、軍学校時代に世話になった、バトラ・フスキー中佐。黒い髪、深緑色の目はあの時となんら変わらない。

 

「また会ったな、フレーシア。ようこそ。三課第一下克上組へ。」

 

 なんて楽しげな表情だろうか。彼の抜擢でここに配属になったと聞いたのだが。まるで偶然再会したような言い方に、ヤックルは不審感を抱いた。
 第一下克上組含め、この南館に配属される軍人・軍属は、大抵が上官となる者の引き抜きによるものだと聞く(ただし、まれに適当に貧乏くじをひかせる上官もいるらしいが)。ヤックルは彼――バトラに気に入られたためにここに居るのだと思っていた。憶測や仮説をたてることは好きではなかったが、違うのだろうか。
 ヤックルに与えられた席は入り口から入って左手側の、最も手前に位置する机だった。ヤックルの前の席は空席らしい。曰く、机配置のバランスを取るためだそうだ。ヤックルが今回このグループ配属になったことで、バトラ直属の部下は五人となり、よそから机を拝借してきたらしい。

 

「分からないことは遠慮なしに聞いてくださいね。一応、あたしはあなたの指導係になってますから。」

 

 リタはヤックルの隣の席。そのリタの向かいに座るのはスージー・デック准提《じゅんてい・戦闘員兵の『准尉』位と同等階級》。その右隣がアッサム・ローラー。彼は三位≪さんい・戦闘員兵の『伍長』位と同等階級≫だ。スージーとアッサムについては深い青色の勤務服であるため、彼らは事務職者であることが分かった。

 

「ルシア・フィリーナ。少佐だ。よろしく、少尉殿。」

 

 リタの隣、ローラー三位の向かいの席には佐官のルシアが座っている。彼はヤックルと同じ深緑色の勤務服。意味するのは、戦闘員兵であるということだ。同じ所属となった同僚たちと一通り紹介を交わした後、ヤックルは早速書類消化作業へ入った。速読は得意だ。

 

「クランキー中尉。次の指示をお願いします。」
「あら。もう終わっちゃったんですか?」
「はい。」

 

 ヤックルの仕事の速さにだろう、居合わせた同僚たちはこぞってヤックルに目を向けた。リタもまた、ヤックルに驚きの眼差しを遣ったが、すぐに笑みを作った。

 

「噂以上に仕事がお早い。勤務初日なので書類雑務だけにと思っていたのですが……。フスキー中佐。」

 

 リタは、ヤックルが目を通した書類をぱらぱらとめくり、それからバトラのほうを見た。バトラは無言のままにリタへ頷いて、リタもまた言葉なく歯を見せる。会話などなくとも意思の疎通が出来るのは、互いに信頼し信用し合っているなによりの証だ。ヤックルは、先ほどのリタのとぼけたような態度は、もしかしたら演技だったのだろうかと思えた。そしてリタは、なにか試すような目つきでヤックルを見つめる。

 

「軍学校時代に、フレーシア少尉、あなた、短槍で教官を伸したそうですね。」

 

 リタのその黒い目を、ヤックルは眺めた。どうやら、隠し事の必要はないらしい。同僚たちの好奇の眼差しに少しの動揺も見せず、ヤックルは事実を語った。

 

「はい。私の特異性体質が運悪く発現してしまって、教官を卒倒させてしまいました。」

 

 ヤックルが少し遠慮気味に言うと、小さく笑ったのはバトラだった。ヤックルが気絶させた相手とは、軍学校の近接戦闘技術専門の教官。バトラが当時のその教官と知り合いらしいことは、すでに存じていたため、ヤックルは特に不思議に思うこともなかった。
 リタがバトラに「それってパウシー教官のことですか」と確信したようにバトラへ訊ねる。なんだか楽しそうな表情と声色だ。今にも笑い出しそうだった。リタへ目を遣り、バトラは先より笑みを深くして深刻そうな声を出した。

 

「パウシーに違いないぞ。あいつ、フレーシアを軽く敵視していやがったからな。まさか大勢の『仮軍人』の前で目を回しちまうなんてと、あいつのプライドはズタズタにされちまったよ。」

 

 バトラの愉快さは場に広がっていくように、当時のパウシー教官を知るらしい同僚たちさえ小さく笑っていた。仮にも教官だった相手をこんなふうに見下せるとは。ヤックルは内心で少しだけ気分を害した。
 もともと表情が固いヤックルなので、その内心が顔に出ることはなかった。ためにリタは笑いを絶やさず、ヤックルへ振り向いた。

 

「いや。パウシー教官にトラウマ植え付けたのは凄いことですよ。失礼でなければ、フレーシア少尉の特異体質性を教えてもらいものですね。」

 

 不躾にもほどがあるセリフだ。ヤックルはいよいよリタに対して不快感を抱き始めた。
 ただでさえ特異体質者は異質だという理由で、常に良くも悪くも注目を集める存在だというのに。好奇心のみでそういうことを聞くなど、完全にバカにしているに違いない。ヤックルは閉口し、苛立ちをしずめるために俯いた。表情が変化せずとも、ヤックルのその様子の変化に、さすがにリタも気づいたらしい。なにやら周りの同僚と目を見交わして、リタが「あの」と口を開いた。
 ――途端である。扉が開かれ、騒々しくでかい声が室内に響いたのは。

 

「三課第一下克上組の皆々様、突然の訪問失敬いたします。」
「ビッジャーノ中尉殿、困りますってば!」

 

 浅黒い肌、黒い髪、茶色の眼には奇妙な輝きがある。なによりその図体の大きいこと。ここまでのでかい声は、なるほど彼の巨体なら余裕で発声できるというもの。背後にいるのは監査員のノールドだが、彼がまるで子どものように見えた。

 

「これはこれは。どうしたことだ。ビッジャーノ、君はここへの入館許可は得て居ないはずでは?」

 

 咎めの言葉に違いないのに、バトラの口調の節々からはその愉快さを隠しきれていなかった。なんなんだ、軍とはこんなお気楽な奴らが集う場所だったのか。ヤックルは人知れずそんな不安を思った。
 と、大男がその茶色の眼をヤックルへ遣った。血気盛んな、勇ましい獣の眼……そんな印象だった。

 

「そうお堅いこと仰らんでくださいよ。……で、こいつが短槍使いですか。フスキー中佐。」
「ああ。話しに聞く限りはそうらしい。手合いがしたいんだろ、ビッジャーノ。」

 

 何事を言い出すのだろう。思いがけない言葉にヤックルはバトラへ振り向いた。視界の中にはいかにも楽しそうな顔をする同僚たちが映っている。他人事だと思って完全に話しに聞き入っているのだ。
 バトラの言葉に盛大に頷き、大男はそのでかい声を張り上げた。

 

「上官許可さえありゃ、可能なんですがね。フスキー中佐、許可頂けませんか。」
「ああ。許可する。」

 

 ヤックルは流れるような会話の内容に唖然した。自分の意思など全く無視した決闘の約束を勝手に取り付けられてしまった。しかし上官が許可を出すとは、つまりこれは命令。背くことも反発することも許されない。ヤックルは諦めの息を吐いて、大男を見上げた。ヤックルのその鳶色の目には、静かな闘争の光が宿っている。

 

「私はヤックル・オランゼ・フレーシアと申します。地位は少尉。新参者ですが、手加減など無用です。」

 

 挑発じみた言い方で自己紹介を済ます。大男は間を置かずに、にやりと笑みを見せた。

 

「俺はアルカナ・ビッジャーノ。地位は中尉だ。『白虎の広場』で待っているぞ、フレーシア。」

 

 短い挨拶が終わるとアルカナは、半泣きのノールドと共に退室した。静まる場の中で最初に口を開いたのはリタだ。

 

「フレーシア少尉。あの人、中央塔一の長柄武器の達人なんですよ。大丈夫ですか?」

 

 珍しく低姿勢で心配をしてきた。ヤックルはちらりとリタを見て、「問題ありません」と述べた。

 白虎《しろとら》の広場は施設の西館と北館の間に広がる草原広場のこと。中央事務施設内で最も穏やかで安らぎを得られる場所として、多くの軍人が足を運ぶ場所でもある。そんな穏やかな雰囲気漂う場所に、実技訓練用の長柄棒を持った大男が現れた。

 

「昼休憩もまだなのに、ビッジャーノ中尉は何をやっているんだ?」
「新卒の戦闘員相手に手合いをやるらしい。」
「何、本気か? あの人に敵うような奴はここにゃ居ないだろ。何やらかして目を付けられたんだ、その新卒は。」

 

 深緑色の軍服を着用する者なら誰でも知っている。あの中尉の実力が、軍内トップクラスなことくらい。しかしながら、昼休憩までは時間があり、多くの軍人や軍属の者は普通ならば職務室で各自の仕事を遂行している頃である。手際良い者や書類運搬の係を請け負った軍人など以外は、この時間に通路を歩くことさえしていないはずなのに。時期的に似遣わぬ場所に仁王立ちする槍使いの姿を、こうして噂せぬわけがなかった。
 二人の青年軍人がその様子を遠目から観察しているときである。一人、威風を放つ軍人が彼らへと近づいてきた。

 

「ロレンダ曹長に、トロース准尉。どうした。サボりかい?」
「いえ、とんでもない! 中佐もあれをご覧下されば理由が分かりますよ。」
「広場の中央を見てください。」

 

 セミロングの金髪に青い眼。爽やかな印象を与える若き佐官の女が、部下にあたる彼らに声をかけた。びくりと肩を震わせた後に、部下二人が間髪入れずに言い訳を話すと、佐官の女は「ああ」と呟いた。

 

「ビッジャーノ中尉か。彼は何をしている?」
「これから手合いをするそうです。」
「何。誰とだい?」
「不確かですが、どうやら新卒の尉官の方とだそうです。」

 

 金髪を風に揺らし、佐官の女は「へえ」と愉快そうに唸った。その微笑はとても楽しそうで、今しがたサボりの疑惑をかけた部下たちと同じように、大男を眺めていた。

 同じ頃、鍛錬室から短槍を拝借したヤックルは、約束の広場へ向かっていた。

 

「入軍したばかりなのに、あまり目立たないほうがいいですよ。フレーシア少尉、特異体質者なのでしょう?」
「むしろ願ったりです。クランキー中尉は見学していてくださって構いません。私は敗ける気がしないので。」

 

 自信満々にそう言い切り、ヤックルは広場を一望した。なにやら人だかりが出来ている。たぶん、あそこの中心に相手がいるのだろう。
 リタの制止はギャラリーの居る場所まで続いたが、ヤックルは特に気にも留めずに進み出た。

 

「相手って女性戦闘員か。」
「見ろよ。ビッジャーノ中尉と比べたらまるで少女だ。」

 

 ヤックルは元々、年齢における平均身長よりもずいぶんと小柄なのだが、大男と立ち並ぶとまさに親子並の身長差があった。ギャラリーのほうから何かよく分からないどよめきが沸いたが、とうのヤックルは全くなんの動揺もなく平然としている。
 その揺るぎない姿勢に対してか、不敵な笑みを浮かべたアルカナは、ふっとギャラリーを見渡した。

 

「ここは騒ぎ好きな奴が多いからな。だが、こういう舞台のほうがやる気が出るだろ。」
「そうですね。どうでも良いことですが。ただ、私のことを知らしめるには絶好の機会と思っていますので、是非本気で遣り合いましょう。」

 

 敗ける気はしない。その言葉には偽りも迷いもなかった。ヤックルは息を整えて短槍を構える。雰囲気が変わったことに周りも気づいたのか、ざわめきが少し小さくなった。
 目の前の大男もまた、余裕だった様子を失せさせて静かに体勢を整えた。

 

「期待以上の動きを頼むぜ。少尉。」
「中尉殿こそ、手加減不要でおいでください。でなければ、がっかりしてしまうので。私が。」

 

 生意気な言い方だとヤックル自身気づいていた。だが、一度吐き出した挑発のやり直しなど出来ない。もとより、訂正も取り繕いもする気はなかった。

 

「お願いします。ビッジャーノ中尉殿。」

 

 体面上の挨拶をした直後に、ヤックルは先制へと出た。その身体の小柄さを存分に活かした戦闘形態。ヤックルの身のこなしは尋常なく、短槍の捌き方も相当な速さを誇った。周囲のギャラリーは皆一様に驚きの表情を見せ、先まで勝負を制止しようとしていたリタもまた、ヤックルの予想外の槍捌きに息をのんだ。

 

「何て奴……あの小さい身体で、ビッジャーノ中尉を圧倒してやがるぞ。」
「ああ。しかし、槍捌きそのものは滅茶苦茶だ。不規則すぎて動きが全く読めやしない。」

 

 だが、その滅茶苦茶な太刀捌きは、繰り出す速度が巧くカバーしている。――軍服に包まれているヤックルの身体は、その外装からは想像できないほど筋肉がついている。色気などとは無縁の、『武人としての肉体』が出来上がっていた。どれだけの鍛錬を積んだのか、そんなことさえヤックルはもう覚えていなかった。余計な情報や情念などは、『野心実現』のうえで不必要。そう思ったときにはすでに、ヤックルの頭は『利益的情報』以外を消去するように働いていた。要らないと思った情報は――たとえ人の顔や名前さえも――全て漏れなく忘却していく。これまでに、それによって不利的事態が起きたことは一度もなかった。

 

「少尉……。」

 

 リタは不安げな顔で二人の手合いを見ている。ヤックルがどのような思いで短槍を動かしているのかなど――リタが何を思いながらヤックルを見ているのかなど――互いに知る由もない。

 

「中尉、殿。勝敗は、どのように決まるのですか。」

 

 叫ぶようにヤックルが問う。アルカナはヤックルの太刀捌きを吟味するようにしばし黙り、しかしその間にも隙を探っては反撃を試みてきた。
 滅茶苦茶な槍捌きを速度でカバーするヤックルとは、まるで真反対の槍捌きをするのがアルカナだ。確実に狙った場所へ撃を繰り出し、無駄な動きは一切を排除している。中央事務施設内でアルカナがトップの長柄使いといわれるゆえんはその美しい槍捌きにあった。速度はいうまでもないが、その巨体を活かした一撃はまるで投擲機から発射される岩のように重い。なにより落ち着き払ったその様で槍を操る姿は、整った太刀筋と相俟って舞踏をしている印象があった。そういった面から、槍使いとしての本質上でも、また、槍捌きの見た目の印象でも、彼がトップであることを誰もが認めていた。

 

「勝敗は、俺たちが決めるんじゃねぇ。周りの奴らが、判定するモンだ!」

 

 ヤックルの槍を追い払うように横へ薙ぎ、アルカナは身体を回転させて激烈の一撃をヤックルへ振り下ろした。危ういあたりで受け止めたが、いくらヤックルが逞しい肉体を誇っていても、倍近くある体格を持つアルカナの一本槍の重さを受け止めるのは非常に難儀だった。

 

「耐えろ少尉!」
「いいぞ、どっちもいけ!」

 

 ギャラリーの囃したてる歓声は、今や東西南北全ての施設にまで届いていた。いくら上官の許可を得たからと言って、昼休憩を前にこんなに騒いでいていいはずがない。ヤックルはふと時計塔を見上げた。間もなく12時になる時間だった。

 

「……あ。」

 

 アルカナの重さに耐えていたヤックルは急激に足の力が弱まるのを自覚した。彼の重さにとうとう膝が耐久できなくなったのだ。その隙を見逃さずにアルカナは槍を引き上げ、勢いをつけて振りかざし、叩き潰すかの如くヤックルへと振り下ろす――

 

「そこまでだ!」

 

 突然の怒号は、12時をさした途端に鳴り響いた鐘の音によりかき消された。
 ヤックルは地面へ膝をついて、荒い息を吐きギャラリーへ振り向いた。アルカナの繰り出した槍はまさにヤックルの額を叩き割らん寸前の位置で停止してあり、あと少しで頭へ到達しそうである。
 ヤックルの視線の先には、金髪を風になびかせる女性軍人がいた。周囲で事の次第を観戦していた軍人軍属らとはまるで異なる厳格な雰囲気を醸し出している。腕組みをし、じっとヤックルらを見つめるその青い眼は、静かな怒りを帯びていた。

 

「アルカナ・ビッジャーノ中尉。及び、ヤックル・フレーシア少尉。貴様らは、官罰室へ来てもらう。拒否権など与えん。来い。」

 

 軍服を翻し、女は背を向けた。あれだけ騒がしかった周囲には今、静寂が訪れている。やってしまった。ヤックルは後悔を抱いて、短槍を固く握った。

 

「あの中佐は、たまにおっかねえな。」
「ああ……。持ち場へ戻るか。とばっちり来る前に。」

 

 先までお祭りのように盛り上がっていた観衆も、今は我関せずというふうに変わり身の早さで去っていく。ヤックルは息を整えながら、上官らしき女の後を追った。

 

「さすがにマズったな。もうちょいで決しそうだったんだが。」

 

 ヤックルの隣を歩きながら、アルカナは残念そうにぼやいた。なんともお気楽な人だ。これから懲罰を受けるかもしれないというのに。しかし、あの女は何者だろう。雰囲気や他の軍人の態度から、それなりの地位であることは察せるが。これまで見たことがない上官の登場に、ヤックルは多少の不安を感じずには居られなかった。
 『官罰室』とある部屋へ来たとき、女軍人はヤックルたちに「入れ」と短く命じた。たった一言だったのに、ヤックルはただそれだけでも彼女の威圧に背筋を強ばらせた。
 室内はがらんどうとして、椅子一つなかった。壁や床にはなにやら人為的につけられたと思われる亀裂や傷が複数あるのみで、それ以外にはなにもない。

 

「さて。話したまえ、アルカナ。新米の少尉と手合わせるに至った経緯、及び言い訳を。」

 

 扉を閉め、女は静かに問いかけた。不意にヤックルを見た女は、「ああ」と小さく呟いた。

 

「私はロティア・ハルシュテンだ。警戒しなくとも良い。ただ『体面上の罰』を与えるだけだからね。」

 

 先までの厳しい表情を和らげ、まるで別人のように爽やかな微笑を浮かべる。彼女の名を聞き、ヤックルは僅かにどう目した。ハルシュテンとは確か、自分に似ているという中佐……しかし、外見では金髪である以外に特に似た部分はない。ヤックルは小柄だが、中佐は軽くヤックルの頭三つ分以上の背はある。眼の色も違う。雰囲気だって佐官らしい厳格さはあるが、ヤックルよりも柔らかな印象だ。リタやバトラは一体なにを見てヤックルと中佐を『似ている』と思ったのだろう。疑問しか浮上しなかった。

 アルカナはやれやれと諦めたように息を吐くと、ここへ来てようやくヤックルと手合いに至った理由を語り始めた。


 軍学校時代にヤックルが教官を伸した噂は、当時はここ中央事務施設でも話題になっていた。しかも話には尾ヒレがつき、『至上希にみる槍使い。実力はビッジャーノ中尉を上回る』と最終的には中央塔一の長柄武器使いの中尉の闘争心を掻き立てるようなものになったらしい。噂といえど、まだ顔も知らぬ『仮軍人』に負けるのは気に食わない。『真の軍人』として入軍してきたら真っ先にその力を試してやると思い立ち、手合いに至った。
 なんだか噂に振り回されて、結局は巻き込まれてしまっただけのように感じ、ヤックルは少しめまいを覚えた。そんなヤックルをよそに、アルカナはフンと鼻息を吐き出す。

 

「いや、しかし実際フレーシアはなかなかだった。槍捌きは滅茶苦茶だったが、不足ぎみな力と未熟な太刀捌きを、俺のそれより僅かに上回る速度で巧みにカバーしていたからな。ちゃんと鍛えれば、技術の面で俺を越えることも出来るだろう。」
「ほう。アルカナにそこまで言わしめるとは。大物だな、フレーシア少尉。」

 

 軽く見ているわけではなく、単純に褒めてくれたらしい。だがヤックルは仕事以外では誰からの指導も受ける気はなかった。頑なな野望が、ヤックルという意志の強い人間を構成していたのだ。
 一呼吸おいてから、ロティアはヤックルを眺めはじめた。咎めるようなものではなく、たんに観察するような感じだった。

 

「それにしても、フスキーから散々言われていたから、どんなひねくれ者かと思ったが……。フレーシア少尉は昔の私によく似ているな。」

 

 ロティアはヤックルに微笑を送ると、ふっと目を伏せた。その一瞬にヤックルは、ようやく彼女と自分の似た箇所を見つけた。この中佐もまた、ヤックルと同じ思想を抱いているのだ。言葉にされなくても、ヤックルには分かった。なにせ目を伏せる直前のロティアの目は、一瞬間光を失ったから。

 

「懐かない獣みてえな目は確かにそっくりだな。」
「だろう? 何か企んでいる眼なんだよ、楽しみになるじゃないか。」

 

 彼女の青い眼に見つめられると、まるですべてを見透かされているような、そんな気持ちになる。ヤックルはなんとなく視線を逸らして、それから紡いだ。

 

「具体的な罰は何が与えられるのですか。」
「おや。何か罰を与えて貰いたいのかい?」

 

 また、だ。いったい、ここの軍はどうなっている。まるで軍学校時代の厳しさや辛さが嘘のようだ。ヤックルは顔をロティアへ向けた。つい睨んでしまう。
 かたや、ハルシュテン中佐はなんて穏やかなこと。不機嫌な様子のヤックルへ、中佐は少し困った笑みを見せる。

 

「そう睨まないでくれ。私は無能な上官とは違う。君はアルカナに一方的に果たし状を受け取らされたのだろう? そして君の上官のバトラ・フスキーが強制的に決闘を約束したに過ぎない。仮に罰を与えるとしても、君ではなくそっちの巨人にしか罰は与えられないだろう。」
「そうだぜ。少尉殿は真面目な『軍人』だな。まさに鑑だ。」

 

 アルカナは豪快に笑った。内心で釈然としないのはヤックルだ。どんな理由にせよ、あれだけの騒ぎの原因に違いないのに、罰を与えられないだなんて。軍学校時代の様子と実際の軍内部のあまりの対応の違いに、ヤックルは混乱した。あの厳しい日々はなんだったのだろう。こんな生温い軍に来てしまうなんて。いや、だからこそ『奴ら』みたいな屑軍人が簡単に昇格できてしまうのか。
 閉口して考え始めたヤックルに、ロティアは肩を竦めた。

 

「ああ。本当、私によく似ている。フレーシア少尉。もういいよ。『罰』は与えたから昼休憩をとって、そのまま持ち場へ戻りたまえ。」

 

 変わらぬ笑みを浮かべながらロティアはそのように指示した。文字通りの解放指示だった。ただ話を聞いただけで罰だと。そんなバカな。反発したくなったが、普通なら『その程度』で済んで良かったと思うところだろう。どうやらヤックルは、厳しい軍学校に慣れてしまいすっかり『堅苦しい忠義』が身に付いていたらしい。
 退室の直前、ロティアの横を行き過ぎる間際に、ヤックルはロティアを見上げた。

 

「フスキー中佐から、聞かされているのでしょう。なぜ彼は私を引き取ったのですか?」

 

 まだ『仮軍人』だった頃、バトラに指導を受けたことがある。それは数える程度だったが、彼はなにを見て自分を召し抱える気になったのだろう。なんとなく気になってはいたのだが、本人に聞くのは躊躇われたため、彼と親しいらしいロティアへ訊ねてみた。
 ロティアは青い眼をヤックルへ向け、ふわりと微笑した。

 

「君は将来有望性を見いだされたんだ。理由は詳しくは知らない。だが、彼曰く『フレーシアの野望を聞けばきっとお前も彼女を気に入る』とのことだ。気が向いたときにでも、聞かせて欲しいものだね。君の野望とやらを。」
「……いずれお話します。では、失礼させていただきます。」

 

 好奇心に満ちた眼だ。ヤックルはその眼を避けるように部屋から出た。……ああ、勤務初日だが、やたら疲れた。温厚で静かだが、あれは間違いなく裏のある暖かさだ。ロティアというあの佐官……まだ若いのに、しかも女で中佐というのは、必ずそれに伴う実力を持つはず。

 

「――価値がある。」

 

 利用価値のある人物を、見つけた。だが、あの佐官の女性軍人はそう易々と利用されてはくれないだろう。ヤックルはそれを本能的に理解していた。否、彼女がなぜあの若さで上位佐官を掌握しているのか、それを考えたら悩むまでもなく理由は必然、思いつく。それでも、『野心実現』のためにどうにか彼女に取り入りたい。ヤックルは、思惟するより前に、ふうと息を吐いた。

 

「少尉。」

 

 通路の先から小走りにきたのはリタだった。不安げな顔だったが、ヤックルの無事を確認できたからか、彼女は安堵らしき息を吐いた。

 

「ハルシュテン中佐のことだから、変な罰はないだろうとは思ってたんだけど、心配で。でも、やはり杞憂に過ぎなかったみたいですね。」

 

 明るく言うリタに、ヤックルはなんとなく申し訳なさを抱いた。なんだかんだ、この中尉も他人の身を案じているからお節介をかけてしまうのだ。邪険に扱うのはさすがに失礼だろう。
 ヤックルは、ちらりと、今しがた出たばかりの部屋を見遣る。室内からはロティアとアルカナの声が微かに聞こえた。
 それを聞き流しながら、ヤックルはリタへと尋ねてみる。

 

「ハルシュテン中佐は、普段からあのような感じなのですか。」
「ええ。基本的に三課の上官だけは、他の上官に比べたら優しいですよ。生温いとか甘いとか、そんな風に言う人もいるけれど、一方的に怒鳴るだけより、彼らみたいに悟らせる叱り方をしてくれる上官のほうが、慕いたくなるし親しみを持てる。もちろん、派手にやらかした場合はそれ相応の罰も下してくれますけどね。飴と鞭の使い方がうまいんですよ、彼らは。」

 

 冷静な考察を述べて、リタはヤックルの手を取って歩きだした。ヤックルは驚き振り解こうとしたが、思いとどまった。
 少し前を小走りに歩くリタが、不意に口を開く。

 

「少尉、図々しいお願いをしてもいいですか?」
「……内容にもよりますが、何ですか。」

 

 図々しいと宣言されては、そう易々と承諾するのはなんだか怖い。しかし彼女は上官の立場であるし。一応、訊くだけきいてみよう。ヤックルがそう返すと、リタは振り返って、

 

「勤務外の時はファーストネームで呼んでも良い? 階級なんて、所詮は肩書きだから。あたしのこともリタって呼んで欲しいんだ。」

 

 敬語を崩した彼女の予想外の「お願い」に、すぐに返事が出来なかった。ここは軍であって、間違ってもスクールではないのに、名で呼びあうなんて『友達ごっこ』をしたいというのだろうか。
 返答が出来ず黙ってしまったヤックルだったが、こちらを見るリタに誰かの姿が重なった。どきっとして、ヤックルは瞠目する。――外見ではなく、その振る舞い方が、よく似ている。
 ひと呼吸おいて、ヤックルはリタを見た。

 

「構いませんよ。ただ、お断りしておきますが、私は言葉を崩すことに慣れてないので、敬語でもよろしいですか。」
「ありがとう。慣れるまでは敬語でいいよ。よろしく、ヤックル。」

 

 笑顔を咲かせ、リタはヤックルの手を握った。ああ、やっぱりほんの少しだけ、似てる。ヤックルはリタに、実妹の姿を重ねた。アシュレイはいい子にしているだろうか。――あの日のショックにより自らハンディを背負ってしまった妹を思いだし、同時になぜ自分が軍人入りしたのかを思い出した。

 

「よろしく、リタ。」

 

 リタに妹を重ねて、ヤックルは決意を再び固めた。きっと、必ず『奴ら』に報復を。そしてアシュレイに、幸せを……。
 朱勲章《スティル・アンカー》を得るために、ヤックルは未来を見据えた。

 

 

閑話休題1

 

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