創作作品展示室

主にオリジナル小説が掲載してあります。

「青いせかいの蝉時雨」

※自作曲「青いせかいの蝉時雨」の短編です。ページ下部に、楽曲のYouTubeと歌詞と人物設定等あります。

 

【青いせかいの蝉時雨】

 

 海の底にある、ふしぎな、美しい外観の喫茶店。傍にある桜は、絶えず花びらを咲かせ、薄暗く陰鬱な世界において、この一帯だけは異質な光景が見られる。店内へ続く扉の横に、「ともしび」と書かれた看板。――ここは、死者が行き着く先。そして、たまに、生者が迷い込むこともある。因果を、運命を、すべてを『裁ち切る』ことができるという、その場所に、今日もひとり、迷い込む。
 
 ――聖さん、あなたに、会いにいきます。
 
 愛する人の後を追って、彼女はその身を海へと躍らせる。いくつの四季を共に過ごしたのか、それさえ、忘れ去って。冷たく、苦しい世界。彼女は、海中にその涙を溶かした。あぁ、でもこれで、いいのだ、とそう盲信した。そうして、意識が遠のいていく。願うのはただひとつだけ。愛する人にもういちど、会いたい。それだけだった。
 
 意識が覚めて、最初に見たのは、桜の花びらだった。季節外れの桜。どこに、と目を遠くへ向けると、薄暗い周囲に浮かんだような、ひとつの建造物。見た目は喫茶店。傍らの、桜の木。そこから花びらが舞い散って、とても幻想的だと、そう思った。ここは、天国だろうか。それとも、地獄か、ただの幻覚か。それさえ分からない。……いや、思い出した。自分が自殺を試みて、海へと飛び込んだことを。だとすれば、これは、未遂で済んでしまったのだろうか。そも、ここは一体、どこなのだろう。悲しみはまだ継続している、それが意味するのは、まだ自分に意思があって、「生きている」ということ。
 涙など、文字通りに、枯れて尽きたと思っていたのに。どうしてまだ、溢れるのだろう。泣くことさえもう「飽きた」はずだったのに、涙腺から溢れた涙が、頬を刻んでいく。そして、その刹那のこと。彼女の目の端に、なにかが「泳いだ」のを見た。ぼやけるまなざしをそちらへ向ける。――魚?そして気付く。周りに、とてもこまかく立ち上っているのは、気泡。呼吸は全く苦しくなく、重力もある。けれどここは、紛れもなく、水中。どういうことだろう。死ぬと三途の川を渡るというが、海で死んだから川までたどり着けなかったか、あるいは、海で死ぬと三途の川じゃなく、地獄へ直行するとでもいうのか。しかし、地獄にしては、想像以上に美しい場所だ。周囲は暗黒。けれど、視線の先にある桜、そして喫茶店。そこだけ淡い光が差し込んで、なにかの映画でも見ているかのよう。
 
 ――緋香子。……緋香子。
 
 声が聞こえる。どこから。分からない。しかし、その声は、紛れもなく『彼』。出会って幾年。仕事に一段落がつくと言う、その月は3つ先。逸る心は、きっと彼も同じだったはず。出張先からの帰りのことだった。乗車したそのバスは、突っ込んで来た大型のトラックと衝突した。橋の上、遮る唯一の柵さえ突き破り、ただ一時の出来事で、居合わせたすべての乗客及び運転士が、一生を終えた。仕事を終えた彼女のスマホには、彼の身内の者からの着信、そして、その文面。言葉を失い、すべてが分からなくなった。食事も、仕事も、何もかもを忘れた。そして気付いたら、ここにいた。
 
 桜。桜の時期も、何回、一緒にいたことだろう。毎年、各地の花見の名所を巡った。2人で、いろいろなところへ行った。……のに、思い出せない。死んだせいで、忘れてしまったのだろうか。薄情な人間だ、と幾度目か、絶望にまた落ちる。
 
 そして、耳に触れる鈴の音。優しい音色は、喫茶店の方からだった。意識せずそちらへ向けば、人の影。薄明かりの中に、喫茶店から漏れる光。その光が、彼女の目の前にまで伸びている。鈴の音は、喫茶店の扉に付いている物。かすかに香る、コーヒーのそれは、不思議と心が安らぐようだ。彼女のほうへ向かって、人影が少しずつ歩みを寄せる。染色ではなさそうな金の短髪が軽く揺れる。目元、口元には薄らと笑みの色が浮かんでいる。
 
「――ようこそ、いらっしゃいませ。喫茶『ともしび』へ」
 
 耳触り良い歓迎の声は、コーヒーの香りのように、どこか安心感を覚えさせる。バーテンダーが着用するような、白と黒の衣装を身にまとう名も知らない男性。けれどその格好は、長身の彼にとても似合っている。自然、足はそちらへと向かっていく。まるで導かれるように。そして、求めるように。
 
 店内に流れる曲は、聞いたことはないがピアノの旋律。内装も、まるで地上にある喫茶店そのもので、ただ他と違うのは、
 
「マスター、聴いてよ。また彼がね~」
「あっ、こっちもう一杯、アメリカンお願い」
「あら。また人間が迷い込んでるのね~。あ、あたしには濃~いブラックをよろしくぅ」
 
 右を見れば、イルカ。左を見れば、人魚、そして、大型の魚類……。いずれも、さらに驚くことに日本語を喋っているように聞こえる。否、聞こえるというか、確実に喋っている。どういう魔法なのか、あるいは、自分の耳がとうとうイカれたのか。彼女はカウンターの席に腰かけたまま、周囲の異様な光景にただ唖然としている。マスター、と呼ばれた青年は、彼女の前にカップを置く。鼻腔を抜ける、とてもいい香り。彼女は視線を戻し、マスターを一瞥、それから、目下のカップを眺める。眺めるままで、手も口も動かせない彼女に、マスターは再びの微笑。それから、声を発した。
 
「どうぞ。勘定のことはお気になさらず。これは僕からの『厚意』ですから、冷めないうちに召し上がれ」
 
 水中のはずなのに、コーヒーは、カップから溶け出ることなくそこにある。ゆら、と水面が揺れて、自分の顔が映し出されてさえいる。喉の渇きも、腹の空きもないが、無性にコーヒーを飲みたいと思った。手を動かし、カップを手に取り、そっと口元へ近づける。香りが一層増して、先よりさらに深い安らぎを覚えた。目を閉じて、カップに口を付け、ゆっくりと口内へ流す。一口、二口。最適な温度に温められたそれは、食道を通って胃の中へ。――途端のこと。
 
 目の前に、様々な景色が広がった。いずれも『彼』と行ったところばかり。走馬灯、だろうか。けれど、これは。
 
「――大丈夫ですか?」
 
 不意に鼓膜が音を拾う。自分にかけられた言葉。気付けば、目の前に見知らぬ女性。人、ではない。下半身が魚で、上半身が人の身。人魚だった。灰色の髪の毛は長く、けれど鬱蒼としていないのは、人魚の表情が明るいからか。端正な顔をする人魚の手が、そっと頬に触れてくる。体温が、冷たい。それもそうだ。海の中の生き物なのだ。人のなりをするが、彼女はおとぎ話の中の存在と同じ。なのに、冷たい手の感触とは裏腹に、暖かい言葉と眼差しは、紛れもなく心を温かくする。滲む。視界に映るものがすべてぼやける。久しく感じる人のぬくもり。ただただ、嬉しいと思った。
 
 人の名は、「祭奈 緋香子≪さな ひかこ≫」と言った。3ヶ月後に、挙式を挙げる予定だった。だが、つい先日。婚約者を事故で亡くしていた。その訃報から緋香子は、おかしくなった。体力を失い、絶望の果て、たどり着いたのが、婚約者の最期となった場所。身を投げるのは容易かった。ただそこから、飛び降りれば良かったのだから。冬の海はひどく冷たく、すぐに手足が凍り付き、肺は息苦しく、思考は完全に停止した。怖い、と思ったのはけれど、それきりだった。飛び降りる前も、飛び降りた後も、「やっとあなたの元へ行ける」と、ただそう思っていたのだ。
 
 けれど、自分は死に損なった。あるいは、すでにここは冥土なのかもしれない。ならばこれは、このコーヒーは、「冥土の土産」なのだろうか。なんて、そのようなことを思う。
 一頻り泣いた後、緋香子は語り始める。自分の身の上のことを、心に抱えたまま、誰にも話せずにいた辛い気持ちを。話している最中、何度も言葉に詰まった。居合わせたすべての客、そしてマスターたちは、静かに話を聞いた。時に緋香子の語る言葉に、涙を誘因された魚のすすり泣く声もする。
 
 『彼』の名は、「真備司 聖≪まきびし せい≫」と言った。緋香子のひとつ年上で、高校生の頃から2人は付き合っていた。聖は、才能に溢れた人だった。車が好きで、設計士として、また開発者として就職した会社でも、これからの活躍を大いに期待されるほどの逸材だった。聖が就職してから、はじめての出張。それは、今後の身の振りが決まる大仕事。それを聖は無事にやり遂げ、出世も確定と思われたその矢先のこと。
 喪服に身を包んだ人が大勢いた。黒装束に、すすり泣く声。故人を偲ぶその姿は、彼の人望の厚さを示すようだった。だが緋香子には、その光景もすべて、夢の出来事のようにしか思えなかった。
 
 ――帰ってきたら、婚姻届を出しに行こう。
 
 出すことができなかったその紙切れ。緋香子の自室に、皺くちゃになったまま放置されている。握りしめて、涙をこぼしたその紙切れはもう、提出することのないただのゴミ。なのに、捨てられなかった。左手にずっとしてあった指輪も、部屋のどこかに落ちていることだろう。忘れられない。忘れたくない。ただ、もう一度、会いたいと願った。
 
 緋香子の話を聞いていたマスターが、笑みを絶やさぬままに告げてくる。それは、予想だにしていない言葉だった。
 
「そうか。じゃあ、その未練を裁ち切ろう」
 
 言葉の直後、緋香子は目を開けていられなくなる。光に包まれて、どれほど長く経ったのか。微風に撫でられて、ゆっくりと目を開けると、そこは。
 
「……え?」
 
 桜が舞い散る歩道。川沿いの、思い出の場所。人はいないが、間違いない。春のあの日、彼と歩いた道。右手にぬくもりを感じて、咄嗟に見上げれば、求めていた人の姿があった。
 緋香子は驚きに目を見張り、すぐに動けない。破顔は、確かにずっと「見たい」と願っていたもの。名を紡ぐ声は、ずっと「聴きたい」と思っていたもの。それから、
 
「緋香子」
 
 身を抱きしめる腕。彼の胸は、とても温かい。変わらない。何もかもが、あの頃のまま。求めていた人に再び出会えたことが、緋香子の心に光を差していく。
 
 高校生のとき、初めて迎えた冬。繋ぐ手が暖かく、けれどどこか照れくさく、反面嬉しさを感じていた。春、夏、秋と巡り、その日、彼に贈った指輪に彼は、照れてはいたものの嬉しそうに笑っていた。次は俺が贈ると約束した、その約束も果たしてくれる。決して裏切ることをしなかった彼の、初めての「約束破り」。たがえるつもりなど、なかったことは分かっていた。だからこそ緋香子は、最初で最後の「裏切り」に耐えられなかった。
 
 彼のご家族からは、なぜだかたくさん謝られた。むしろ、謝りたいのは緋香子のほうだったのに。というよりは、誰のせいでもないことなのに。緋香子は、悲しみや怒りのやり場が分からなかった。ただの不運な事故だった。世間はそれで片付けた。なにせ、トラックの運転手も誰も彼もが、死んだのだから。ただ、遺族だけが取り残された。愛する、愛していた人たちだけが、取り残された。
 
 緋香子は、空になったカップを見つめる。ここに来たときよりは随分と落ち着いている。客は皆、緋香子の話を聞いた後に何か声をかけてきたが、何を言っていたかは覚えていない。気付けば緋香子を除く客がいなくなり、店内にはマスターと、給仕の女人魚がいるだけ。緋香子は、マスターと人魚がカップなどを片付ける様子を眺める。水中、ひいては海底ということを忘れさせるほどに穏やかで、自然すぎる場所。自分は、いつまでここにいるのだろう。そのように思った時、マスターが見つめているのに気付いた。マスターは何を考えているかよく分からない笑顔を貼り付けたままだ。
 
「未練、裁ち切れそうかな?」
 
 問いかけられる。返答ができず困っていると、マスターはにこやかに続ける。
 
「焦らなくていい。ただ君は、まだ『ここ』に来るべきではない人だから。――愛する人を失う悲しみは、僕が思う以上に大きいとは思う。けれどね、人は誰しもいつかは、別れの時が来るものだ。それが遅かれ早かれ、必ず来るものなんだ。だから、笑顔を絶やさず、未練を残さないように、歩き続けていくものなんだよ」
 
 マスターが言い終えたのち、緋香子は自身に異変が起きたことを自覚した。
 空間が歪む。そして、喫茶店の扉が思い切りよく開かれて、猛烈な風が入ってくる。悲鳴をあげる間もなく、緋香子は風に煽られて飛ばされそうになった。人魚が咄嗟に緋香子を抱き寄せて、その身をかばうように守ってくれる。何が起きているか分からないが、視界にマスターの背が見える。
 
「やれやれ。……頼むから、その姿だけは、見せないであげてくれないかな。美しい思い出のままで帰してあげたいんだ」
 
 何を言っているのかよく分からなかったが、マスターは肩越しに緋香子へ振り向いた。そして、また笑う。
 人魚が緋香子に顔を寄せて、そっと耳打ちをした。
 
「目を閉じてください。もう大丈夫ですよ。あなたはもう、大丈夫。……またいつか、ここに来た時は、おいしいコーヒーを振る舞いましょう」
 
 人魚の声が遠く彼方へと吸い込まれていく。……否、緋香子自身が、暗黒へ飲み込まれていく。何も見えない世界。何も聞こえない世界。不安が押し寄せて、孤独に涙が出そうになる。でも、不思議と、心地いいとも思っていた。
 緋香子の目の前に、先刻と同じ光景が映される。すべて、思い出の出来事。確かに経験したこと。彼との思い出。自分の家族や友人との、すべての思い出。――あぁ。そうか。だから私は、ここに導かれたのかもしれない。漠然と、そのように思う。
 
「緋香子」
 
「聖さん」
 
 手を伸ばす。けれど、届かない。距離は、縮まらない。姿がそこにあるのに、確かに自分を見つめてくれているのに。離れたくないと願うのに、願いは決して叶わない。ならば、声が届くのならば。
 
「ありがとう。愛してくれて、ありがとう。私は、あなたを愛しています」
 
 心の限り、叫ぶ。彼の顔に、笑顔が灯る。そして、また光が溢れ出る。まばゆいけれど、最後まで見つめていた。光にのまれていく愛しい人の姿は、徐々に消えていく。緋香子の意識も朦朧として、何も考えられず、何を思うでもなく、無のなかへと意識を沈める。
 
 目覚まし時計の鳴り響く音。ここは、自分の部屋だ。緋香子はぼんやりとしながらも、目覚まし時計を止めて、そっとスマホを見る。なんだかずっと、長い夢を見ていたような。不思議な心地だったものの、自室の惨状に意識が醒めた。荒れ放題の自室に、鏡を見たらボサボサの髪、疲れ切った顔。まるで長い間遭難していた人のようだ、と人ごとのように思って、緋香子は少し笑ってしまう。
 
 悲しみは決して消えてはいない。恐らくまだ未練も、裁ち切れてなどいない。ただ、聖がもし生きていたら、こう言うだろう。「緋香子には、笑っていてほしい」と。緋香子の笑顔が一番好きだから、とそう言われたことがあった。だから、緋香子は久しく笑った。涙を流しながら笑っていた。声を上げて、泣いて笑った。それまでずっと止まっていた時間はいま、再び動き出した。
 
 
 花びらの散る海底の空間。
 緋香子の痕跡はもうない。
 マスター『グロウ』は、「彼」と向き合っていた。
 もはや、生前の面影がほとんどない、真っ黒い化け物。マスターたちは「悪霊」と呼んでいる。「死者が生者を惑わせる」ことは、「大罪」にあたるもの。彼は、死してすぐに「悪霊」に堕ち、緋香子を「自分の中へ」引きずり込もうとした。マスターは、それを最初から知っていた。だが、珍しく情けをかけた。緋香子を再び歩かせるためには、たとえ「悪霊」であってもその記憶を利用する他なかったのだ。だが、もう時間がきた。
 
「悪く思わないでくれ。君たちが心底から、相思相愛だったことは分かる。だが、君はいけないことをした。死を受け入れるのではなく、生へ執着しようとした。――愛する彼女を連れて行こうなんて、それは愛ではなく、ただの『身勝手』だ。……もちろん、彼女のほうも受け入れる気があったみたいだけど、彼女はまだこの先(未来)がある生者に違いない。君はどの道を歩んでいても、あの日、あの場所で必ず死ぬ運命にあった。それを分かっているだろう? さぁ、そろそろ、おしまいの時間だ」
 
 マスターは、一枚の紙を取り出す。何も書かれていない短冊状のそれを、水中に放り投げる。ゆっくりと、確実に「彼」へ伸びていく短冊は、刹那、光が溢れる。
 
「未練を残したまま冥府に送るわけにはいかないから、君にも、未練を裁ち切ってもらう。生者としての緋香子さんは、諦めてもらうけれど、これくらいなら、まあ、僕も目を瞑るよ」
 
 笑みを絶やさぬまま、マスターは新たに何かを取り出した。薄く蒼い光を帯びた小さなガラス玉。手のひらでガラス玉は、渦を巻いて「彼」を包み込む。断末魔が上がり、そしてそれは、泣き声のように震える。――彼女から貰った指輪は、いまも肌身離さず持っている。左手の薬指に嵌めた指輪は、秋風のなか、輝いていた。
 
 あとに残るものは、なにもない。マスターは、小さく嘆息をする。そして喫茶店へ踵を返し、光の中へと戻っていった。
 
 桜の花びらが散る様は、さながら蝉時雨を具現したように。花弁は周囲へと舞い踊り、青いせかいに溶け消える。どこからか、美しいピアノの旋律。時折、誰かの笑い声。「はざま」にある海底の喫茶店には、多くの客人が訪れる。「死者」も「生者」も、「それ以外」の者も。ただ彼らは、マスターのいれるコーヒーを求めて。今日も、『ともしび』の鈴が鳴る。
 
12Oct2019
初瀬川実穂
 
【青いせかいの蝉時雨】作詞・作曲:初瀬川実穂

youtu.be

 
 
【登場人物】
祭奈 緋香子(さな ひかこ)――24歳。主役。
真備司 聖(まきびし せい)――25歳。死んだ婚約者。いいとこの出。とても優しく、人望があった。車の設計士であり開発者。将来を期待されていた。
グロウ――「ともしび」のマスター。「罪人への罰の代行者」悪霊を退散させる。
 
【公式サイトにある楽曲裏話のコピペ↓】
死者(たまに生者)が行き着く海底(冥府の入り口)の喫茶店「ともしび」に、ある日、ひとりの女性が迷い込む。

彼女は、婚約者を亡くしていた。絶望し、自殺未遂をして「ともしび」へとたどり着く。そこでマスター「グロウ」と出会い、生きることへの希望を教示される。

婚約者との思い出を巡りながら、未練を断ち切った女性はその矢先に、婚約者の亡霊と遭遇する。最期の別れと共に光が溢れ、現世へ戻った女性は、再び「生きる」ために歩き出す。

一方で、婚約者の亡霊はグロウの手により冥府へと墜ちる。
未練があったのは婚約者も同じで、一種の悪霊として女性に憑いてしまっていたがゆえに、女性は自殺未遂を犯してしまっていた。死者が生者を惑わせる、それは大罪にあたるもの。罰の執行を代理するグロウは、けれど情けとして女性と会わせることにしたのだった。

曲自体は、婚約者目線。最後に未練を断ち切ることができたために、次の旅路へと踏み出せた。
 
【歌詞】

青い世界の一つの息吹 今わたしの心に光差す
思い果てなき生き行く者へ 淡きひとひら揺れた蟬時雨

思い出の道 繋いでいた手のひら
初めて過ごす雪降る街並み
気づいていた本当は 別れ際の横顔 あなたの傍にいたいよ

芽吹いた新しい命 いつしか桜咲き乱れ
このままいつまでもずっと 歩き続けられると

ーー信じて

あなたとの日々 今も変わらず 色褪せて行くことなきこの道を
たなびく裾に 輝く指輪 いつか秋風揺れた背に時雨

人は誰しもいつかは 別れの時を知っても
笑顔忘れることなく 歩き続けてく

ーーずっと 未来へ

儚く光る蛍火のように 音も立てずに消えた灯火は
声にならない叫びをあげて 刹那に光溢れた

あなたとの日々 覚えています
春夏秋冬の日々この胸に


今も変わらずあの日のままで わたしの心に咲く恋花火

青い世界の一つの調べ 今わたしの心に火が灯る


思い果てなき生き行く者へ 散る さだめ を受け入れた蟬時雨

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